I
(1)五十音図タ行第一段の仮名。 歯茎破裂音の無声子音と後舌の広母音から成る音節。
(2)平仮名「た」は「太」の草体。 片仮名「タ」は「多」の末三画。
II
(助動)
〔古語の完了の助動詞「たり」の連体形「たる」からの転。 中世以降の語〕
動詞・形容詞・形容動詞および助動詞「れる・られる」「せる・させる」「ない」「たい」「らしい」「そうだ(様態)」「ようだ」「だ」「ます」「です」などの連用形に接続する。 ただし, サ行以外の五段活用の動詞には, その音便の形に付く。 また, ガ・ナ・バ・マの各行の五段活用の動詞に付く時は「だ」となる。
(1)動作・作用が過去の事柄であることを表す。

「大昔, この辺一帯は海だっ〈た〉」「去年, 北海道に移っ〈た〉弟が, 先月帰ってき〈た〉」

(2)動作・作用が完了したことを表す。

「やっと手紙を書き終えまし〈た〉」「飛行機は無事着陸し〈た〉」「日はすっかり沈ん〈だ〉」

(3)物事が実現することを表す。

「何年ぶりかで当地方にも雪が降っ〈た〉」「一番になっ〈た〉人には賞品をあげる」「シャボン玉が屋根までとん〈だ〉」

(4)物事や事態の確認を表す。

「見ると, それは若いスマートな青年であっ〈た〉」「国境の長いトンネルを抜けると雪国であっ〈た〉/雪国(康成)」

(5)(連体形を用いて)動作・作用がすんで, その結果が状態として存在していることを表す。 てある。 ている。

「壁にかけ〈た〉絵」「弟の写し〈た〉写真」「とがっ〈た〉鉛筆」「整っ〈た〉身なり」

(6)(終止形を用いて)(ア)強い決意・断言や軽い命令などを表す。

「承知しまし〈た〉」「わかっ〈た〉, わかっ〈た〉」「邪魔になるから, そこをどい〈た〉」(イ)疑問・質問などをもちかけることを表す。 「今度の会合は何日でし〈た〉」「上りの列車は何時だっ〈た〉」

(7)仮定形「たら」は, 接続助詞「ば」を伴わないで, それだけでも用いられる。 (ア)仮定条件を表す。 仮にそうであるならば。 もしそうなったらば。

「雨が降っ〈たら〉, 中止にする」「電話があっ〈たら〉メモしておいてくれ」「その本を読ん〈だら〉早く返してくれ」(イ)未来の確定条件を表す。 「春になっ〈たら〉暖かくなる」(ウ)遠回しに命令する意を表す。 主として女性が用いる。 「早くお帰りになっ〈たら〉」「跡片付けだけはしとい〈たら〉」

III
(接頭)
動詞・形容詞などに付いて, 語調を整える。

「~ばかる」「~やすい」「~ゆら」

IV
(連語)
〔格助詞「と」に係助詞「は」の付いた「とは」の転。 「たあ」と長音にもなる〕
とは。

「そんな意地悪するなら, もうおまえ~遊ばないよ」「雨が降る~思わなかった」

たあ(連語)
V
た【他】
(1)それ以外の物事。 別のこと。 ほか。

「~に例がない」「~の問題にとりかかる」

(2)自分以外の人。 ほかの人。 他人。

「自~ともに認める」「~の人」

(3)ほかの所。 別の所。 よそ。

「~に移る」

VI
た【咫】
「あた(咫)」に同じ。

「八(ヤ)~の鏡」

VII
た【多】
おおいこと。
~とする
労力や好意が普通以上である。 ねぎらいや感謝の気持ちで使う。

「労を~する」「好意を~する」

VIII
た【手】
〔「て(手)」の交替形〕
て(手)。 多く「手綱(タヅナ)」「手折る」「たなごころ(掌)」など複合した形でみられる。
IX
た【為】
〔上代語〕
ため。

「竜の馬を我は求めむあをによし奈良の都に来む人の~に/万葉 808」

X
た【田】
(1)稲を栽培する耕地。 多くは灌漑(カンガイ)設備を有し水稲栽培する水田をさす。 たんぼ。
(2)水で作物を栽培する土地。

「わさび~」

~にも畦(アゼ)にも腥物(ナマグサモノ)つけて
溺愛して, むやみに物を与えること。 田にもやろう畦にもやろう。
~を打・つ
田を耕す。 田を打ち返す。
XI
た【誰】
不定称の人代名詞。 だれ。

「こは~そ, と問へば/枕草子 161」

〔格助詞「が」を伴って, 「たが」の形で用いることが多い。 → たが(連語)〕

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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